シッティング中に、赤ちゃんや子どもの食事介助をしたことがあるというベビーシッターの方も多いのではないでしょうか。今回は、この食事介助で気をつけるべきポイントをわかりやすく紹介します。ぜひ、今後の保育の参考にしてみてください。

実際にこんなことが起こっています！

まずは、シッターの方から届いた、食事介助シーンの事例を紹介します。

【事例①】4歳のお子さま

夕食介助の際、事前にお聞きしていた夕食が見当たらなかったため、保護者さまにメッセージをお送りしましたが、お仕事中で返信がありませんでした。
お子さまが冷蔵庫の中のしょうが焼きを見つけ、「これを食べる」と言い始めたので、まだ保護者さまから返事がない状態でしたが、お子さまの様子からいつも食べているものだと思い、レンジで温めて提供しました。
保護者さまは、「もう古くなっていたので、お腹を壊してしまうかも」と心配されていました。

【事例②】6歳のお子さま

保護者さまから、赤身の漬けを食べさせてほしいとのことで、タッパーに入っていた赤身を出しました。
タッパーの中にはエビも入っており、お子さまが「エビも食べたい」と言ったのでそのまま提供してしまいました。
帰宅された保護者さまから、「エビは2日前に買ったものだから調理してから食べさせたかった、今日は赤身だけ食べさせてほしかった」と伝えられました。

【対策】食事介助時に気をつけるべきポイント

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このように、食事介助のシーンでは、保護者さまとのさまざまな行き違いが起こりがちです。

では、シッティング中に食事介助がある場合、どのようなことに気をつけるとよいのでしょうか。ポイントを3つ紹介します。

事前面談でしっかり確認

事前面談ヒアリングシートにも項目があるように、最低でも以下の3つの点においては、必ず確認するようにしましょう。

1. お子さまのアレルギーの有無やアレルギーの程度
2. アレルギーを発症した際の対応
3. おかわり（食べ物・飲み物）を希望された場合の対応（量も確認！） 

特に、③は確認が漏れやすいうえに、実際の保育現場でよく起こる事例です。しっかり確認しておきましょう。

空腹時などお子さまが食後に追加で食べたいというケースもあるでしょう。保護者さまの負担がない範囲で、食べてもよい食材や量をわかりやすく区別して保管してもらうとよいかもしれません。

なかには、「このあたりのものを適当に食べさせて」というような方もいらっしゃいますが、食材の種類と量は決めておいてもらうようにしましょう。また、絶対に手をつけてはいけないものや保管場所なども確認しておくと安心です。

さらに、お子さまが提供しているメニューを完食せず、別の食材やおやつを食べたいというケースも少なくないかもしれません。あらかじめ準備している食事をお子さまにどの程度食べさせたいかは、それぞれの家庭によって異なります。この点についても、事前にヒアリングしておくとよいでしょう。

シッティング中の自己判断は禁物

お子さまの意思にそのまま従って、シッター自身の判断で食べ物や飲み物を提供するのは危険です。

• 事前確認
  お子さまの飲み物や、空腹時に食べてよいものを保護者さまへ確認
• 当日確認
  予定していなかったお食事やおやつ、水分補給が必要な場合は、必ず保護者さまに確認してから提供

また、シッターが持参したお菓子などを、保護者さまの許可なく与えないようにすることも忘れてはいけないポイントです。

食事量・食材の判断は慎重に

「食事量について事前に確認する」とは、具体的にどのような点に気をつけて行うとよいのでしょうか。

• 食事量に注意
  過去に食べたことがあるものでも、一度に多く食べるなど、量によってアレルギー症状が出るケースがある
  保護者さまに量を確認したうえで、実際に提供する際は適量を心がける
• 食材だけで判断しない
  ご自宅にあるものを「同じ食材だから大丈夫」と安易に判断しない
  食材購入後に時間が経過していたり、大人用にアルコールなどの調味料を使用していたりする可能性がある

このように、身体の中に入れるものは、お子さまの命に関わる重大な事故につながる恐れがあるということを忘れず、どのような場合でも慎重に対応するようにしましょう。

もしも、アレルギー反応が出たら？命を守るための応急処置マニュアル

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ここまで、食事介助のシーンにおいて気をつけるべきことについて紹介してきましたが、日ごろから保育中の「もしも」に備えることも大切です。

ここでは、お子さまにアレルギー反応が出た場合の応急処置についてお伝えします。

アレルギー症状は、多くの場合、原因となる食材を食べて2時間以内（特に、食べた直後から30分間）に、発症することが多いといわれています。

具体的には、皮膚や粘膜、消化器、呼吸器などに、以下のような症状が現れるようです。

＜即時型食物アレルギーの症状＞

1. じんましん、かゆみ、赤みなどの皮膚症状
2. まぶたの腫れ、かゆみ、充血などの目の症状
3. 口、のどの違和感・イガイガ感、唇や舌の腫れ
4. くしゃみ、鼻水、鼻づまり
5. 咳、息がしづらい、ヒューヒューするなどの呼吸器症状
6. 腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状
7. 脈が速い、唇や爪が青白い、手足が冷たいなどの循環器症状
8. ぐったりしている、意識がもうろうとしているなどの神経症状

このような症状が出た場合は、まずは落ち着いて、以下の「よくわかる食物アレルギー対応ガイドブック」に記載されているチェックシートに沿って対応するようにしましょう。

キズナシッターのアレルギー症状に対する応急処置ハンドブックは、こちらから確認できます。

出典：2023年改訂版 小児のアレルギー疾患 保健指導の手引き/研究代表者 藤澤隆夫（国立病院機構三重病院） 出典：よくわかる食物アレルギー対応ガイドブック/独立行政法人環境再生保全機構 出典：アレルギーポータル/厚生労働省