育児休業取得率の推移や背景。育児休業取得率が上がることで期待すること
育児休業取得率とは
育児休業とは、子どもを養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業のことで、育休と略されることもあります。育児休業取得率は、実際に育児休業を取得した労働者の割合です。
算出方法は、調査前年の9月30日までの1年間の出産した方(男性の場合は配偶者が出産した方)の数÷出産した方のうち、調査した年の10月1日までに育児休業を取得した方(育児休業開始予定の方を含む)の数とされています。
育児休業取得率の推移と背景
厚生労働省の資料をもとに、育児休業取得率の推移にまつわる背景をご紹介します。
推移
育児有業全体の取得率は年々増加傾向にあります。男女別で見ていくと、女性の育児休業取得率は2009年度から80%台をキープしている一方で、男性の場合は2020年度で12.65%と低い水準になっています。男性の育児休業取得率は、2016年度以降少しずつ上昇傾向になり、2018年度まで1桁台が続いていましたが、2019年から2020年にかけて約5%上昇する結果となりました。
背景
男性の育児休業取得率の変化にはさまざまな背景が考えられます。そのなかのひとつとして、育児・介護休業法の改正があるといえるでしょう。出産や育児を理由とした女性の退職の理由には、勤務先に育児との両立を支援する雰囲気がなかったことや、パートナーの協力が得られなかったことなどがあるそうです。
女性の離職防止のためにも、性別に関わらず育児休業を取得しやすい職場環境を整えることを目的に、産後パパ育休の創設や育児休業の分割取得、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和が開始されました。また、事業所には、育児休業しやすい環境整備や周知や育児休業の取得状況の公表の義務付けも始まっています。
2022年4月1日から施行された制度やこれから施行される制度も含まれますが、実際に開始される前から動き出した事業所もあるため、2020年度の男性の育児休業取得率が上がったのではないかと考えられます。
育児休業取得率アップで期待すること
育児休業取得率が上がることで、どのようなことが期待できるのでしょうか。ママ・パパたちに、育児休業を取得する方が増えることをどのように感じているか聞いてみました。
育休制度への理解
「育児休業取得率が上昇すれば、さまざまな人が育休制度を身近に感じられるようになると思います。育休を取得する人や事業主だけでなく、周りのスタッフからの理解も得られる世の中になれば嬉しいです」(30代/2歳児と5歳児のママ)
育児休業取得率が、子育てをしながら働く方をとりまく環境への理解につながると考えるママがいるようです。パパのなかからは、男性も育休を取得することが当たり前になってほしいとの声も聞かれました。
育休申請のしやすさ
「取得率が上がり、育児休業をより申請しやすくなることを期待します。人手不足や忙しさから育休を申請しにくいと感じる方もいるため、事業所からの周知や世の中の変化で、社会全体で子育てを見守る仕組みにつながればよいですね」(40代/6歳児のパパ)
育児休業を申請しやすい社会を期待するパパの声もありました。男性の育児休業取得率がアップしている状況は、2人目や3人目の子どもがほしいと思ったときにも背中を押してくれるきっかけになるかもしれません。
復帰後の働きやすさ
「育児休業を取得せずに退職した私から見ると、産後に就職活動をしないで済むため、働きやすいのではないかと思います。取得率が高い会社なら、復帰したスタッフならではの悩みに寄り添った働き方もしてくれそうです」(20代/1歳児のママ)
子育て中のママやパパが仕事に復帰する際、育児休業取得率が高い会社であれば育休明けの働きやすさも変わってくるかもしれません。育児休業からの復帰率が高い会社で働くママのなかからは、周囲のスタッフも復帰する方に慣れているためあたたかく迎えてくれるため、休業中に変わったことを質問しやすいとの声も聞かれました。
少子化対策
「育児休業取得率が上がっていけば、将来的には少子化にも影響があると考えました。妊娠を希望する方が増えたり、2人目を計画する家庭が増えたりするのではないかと思います」(30代/7歳児のパパ)
育児休業を取得する方が増えることで、少子化対策になるのではないかと考えるパパもいました。男性の育児休業取得率が上昇したことで、自分の家庭も3人目を計画し始めたというママの声もあるようです。
育児休業が取得しやすい環境へ
育児休業取得率とは育児休業を取得した方や取得予定の方の割合で、厚生労働省が年度ごとにまとめています。育児・介護休業法が改正されることをきっかけに、性別に関係なく育児休業を取得する流れや取り組みが進んでいます。育児休業取得率が上がることで、女性の社会進出や退職防止につながる他に、男性も育児により参加しやすくなるなど、仕事と家庭のバランスがとりやすい社会を目指せるのではないかでしょうか。事業所には育児休業に関する情報の周知が義務付けられるため、まずは自分やパートナーが働く会社の制度を確認できるとよいですね。
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