保護者さまに安心を届ける。シッティング報告書の作成ポイント

実際にこんな声が届いています!
シッターのていねいな報告書は、保護者さまの「いつも読むのを楽しみにしている」「子どもの成長記録として大切に保存したい」「普段の子どもとの関わりのヒントになる」といったうれしい声につながります。
実際に保護者さまからは、以下のようなレビューをいただいています。
報告書をていねいに書くべき3つの理由
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ていねいな報告書を作成する理由は、保護者さまに喜んでいただくためだけではありません。ほかにも大切な目的があります。
ここでは、報告書をていねいに書くべき理由を3つのポイントからみていきます。
保護者さまに安心していただき、信頼を構築するため
前述したように、報告書は、保護者さまがシッティング中のお子さまの様子を知るためのものです。
どのようにすごしているか、わかりやすく報告することで、保護者さまの安心につながり、定期利用のきっかけにもなります。
お子さまと保護者さまの生活をサポートするため
シッティング後も、保護者さまとお子さまとの生活は続いていきます。
シッティング中にどのような遊びをしたのかや、どんな会話をしたのかなどがわかっていると、保護者さまがお子さまとのその後の生活をすごしやすくなります。
シッターの関わりの意図を伝えるため
シッターがどのようにお子さまと関わっているのかを報告することで、シッターの人柄や配慮、遊びの工夫などを伝えることができます。
また、子どもとの関わりに悩む保護者さまにとっては、シッターが具体的な保育の意図を伝えることが子育てのヒントになり、子どもと安心して向き合えるようになるでしょう。
このように、保護者さまにとって報告書は非常に重要です。特に、シッティング後に直接お話しする時間が取れない場合は、いつも以上にていねいな報告を心がけましょう。
報告書を作成するときの注意点
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保護者さまにより伝わる報告書にするためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
否定語を使わない
意識していないと、つい否定語を使用しがちですが、報告書は文章として記録に残るため、言葉で伝えるよりも否定的に感じられてしまう可能性があります。
たとえば、
- まだできなかった→もう少しでできそうだった、難しいことにチャレンジしていた
- 半分残した→半分食べた
- 集中して遊べない→いろんな遊びに関心がある
このように、同じことを伝えていても、肯定的な言葉を使うことで、保護者さまも気持ちよく報告書を読むことができます。また、普段から否定語を肯定語に言い換えるよう意識することは、よりよいシッティングにもつながるでしょう。
アドバイス調を避ける
保育士や看護師として、保護者さまに対して「もっとこうしたらいいのに……」と思うシーンもあるかもしれません。しかし、保護者さまによっては、家庭の方針に合わせてくれるシッターを望んでいる場合もあります。
アドバイス調の文章は、保護者さまへの否定になる可能性もあるため、自身の意図を伝えるかたちで報告書を作成しましょう。
【アドバイス調からシッターの意図を伝える文に言い換えた例】
○○ちゃんは緑の野菜が苦手なようですので、細かく刻んでお肉と混ぜるなどの工夫をすると食べられるようになると思います。
↓
○○ちゃんが「どうしてもブロッコリーは食べたくない」と言っていたので、ブロッコリーを小さくしてハンバーグといっしょにスプーンに乗せてみると食べることができました。
報告書に必ず記載するべき内容
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報告書を書くにあたって、必ず記載すべき内容が、食事、排泄、睡眠です。
小さいお子さまであればあるほど、食事と排泄、睡眠の把握は、子育てをするうえで重要なポイントになります。また、それらは、保護者さまがシッティング後にお子さまとすごすのに必要な情報になるため、必ず正確に、報告書に残しましょう。
具体的にどのような点を記載したらよいかを、以下にそれぞれまとめました。
食事
食事開始の時間や食事のペース、食べたもの、残したものを記録しましょう。
追加で、食事中の様子や食べた順番、残したおかずを促したときの反応などについて、記録できると、よりわかりやすいでしょう。
排泄
排泄の時間(オムツ交換の時間)や排泄の量、便性(やわらかい、かたい、コロコロなど)を記録しましょう。
排泄については、お子さまにとって恥ずかしいと思う場面です。初めてのシッティング時は、特に、どのような対応をしたのかや、どのような反応だったのか、お子さまが安心してすごせるようにどのように工夫したのかなどを、詳しく書いておきましょう。
睡眠
入眠時間と起床時間を記録しましょう。
どのように入眠したか(縦抱き抱っこや、添い寝トントンなど)や、起床時の様子(お子さまの情緒面や、安心できるようなシッターの関わり)などを書くと、よりていねいです。
報告書例
以下の報告書例は、食事の場面での記録を抜粋したものです。参考にしてみてください。
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8時05分朝食(食事の時間)
「パン!」と言って、パンをよく食べています。
トマトスープは3口程度で終了しましたが、パンは全部食べています。(食べたものと残したもの)
パンの耳の部分は小さく噛み切り、よく噛んで食べ、ニコニコ笑って楽しくおいしそうに食べていました。(食事中の様子)
パンの上に乗っているブロッコリーを指さして「ブリリー」と言っていました。
トマトスープをすくって口に運んでみると、口をつぐみ、抵抗がありました。(残したおかずの反応)
「すっぱいね!」と声をかけ、お子さまの気持ちに共感し、安心してその後の食事が進められるように関わりました。(シッターの関わりの意図)
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報告書に記載するとよりよい内容
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報告書には、以上の記載すべき3点に加え、お子さまとどんな遊びをしたのかや、どんな会話をしたのか、どのような意図でお子さまと関わったのかを書くことで、保護者さまにより伝わりやすくなります。
以下の4点についても、意識しましょう。
- お子さまから話してくれたこと(たとえば、発語が出てきたお子さまであれば、初めて聞いた言葉など)
- 遊びの内容やどんな遊び方をしたか(お子さま自身が工夫して遊んでいた場面など)
- 成長が伝わる場面(前回できなかったことができたところ、練習していくうちにできるようになったことなど)
- お子さまの感情が動いた場面(泣いた場面なども理由と対応を明記する)
これらを報告書に書くことで、シッターがお子さまに真摯に向き合ってシッティングしていることが伝わり、保護者さまの信頼を得ることにつながるでしょう。
報告書例
以下の報告書例は、遊びの場面での記録を抜粋したものです。
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ブロックでしばらく遊んだあと、シッターが用意しておいた歌絵本を見つけるとうれしそうな顔をしていました。(遊びの内容、感情が動いた場面)
自分で歌を選んでボタンを押していました。(成長が伝わる場面)
「しあわせならてをたたこう」を選んで、立ち上がって手拍子や足踏みをしていました。
リズムが合うことも増えてきました。(成長が伝わる場面)
シッターもいっしょに手拍子をして楽しさに共感することで、より遊びへの意欲が高まったように思います。(シッターの意図)
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保護者さまに伝わる、ていねいな報告書例
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ここでは、実際に、0歳10カ月のお子さまを初めてシッティングした際のシッターの報告書を紹介します。
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本日のシッティング報告です。
▼17時30分 お迎え
先生に抱っこされていました。
「ぱっぱ!」と声を出してご機嫌。(お子さまの発語)
抱っこ紐で抱っこし、保育園を出発。
初めて顔を合わせるが、緊張している様子はないものの、「誰だろう?」と言わんばかりにシッターの顔を見上げていました。(お子さまの様子/特に初めてのシッティング時には最初の様子を記載)
雨が降っていたので、ビニール傘に落ちる雨と雨音が楽しいようで、足をパタパタさせ、喜んでいる姿も見れました。
顔を覚えてもらえるように、お顔を見ながらお話をして帰りました!
シッターに親しみをもち、楽しんで帰路につけるよう、シッターが口で「ばぁ!」などと関わると、まねっこをしたり、かわいらしい表情をたくさん見せたりしてくれましたよ。(シッターの意図や配慮)
▼17時45分 帰宅
靴下が濡れていたので履き替えました。
「冷たいね」と、お子さまの気持ちに共感していきました。
眠そうな様子はないですが、いったん抱っこ紐から下ろして、ベッドへ横になってみました。(面談にて、いつもはこの時間に寝ているとお聞きしていたため)
嫌がって抱っこを求めたので、抱っこでフロアへ。
マットの上に伏せの姿勢で下ろすと、すぐにおしりふきのビニールを手に取って遊び出しました。
おしりふきは、掴みやすく音も鳴るので、乳児さんには大人気です!!
事前に許可をいただいていた、 シッター手作りのマラカスでも遊んでみました。
手にフィットして持ちやすかったようで、シャカシャカとじょうずに鳴らして遊んでいましたよ。
「シャカシャカー!」とシッターが言うと、それに合わせて鳴らしていました。とってもじょうずです!(遊びの内容、遊び方)
▼18時10分 オムツ交換/排尿がありました(必ず記載するべき内容)
オムツを交換するとき、コロンと寝返りを打つので、おもちゃを渡して遊びながら交換。
濡れた気持ち悪さや、すっきりした心地よさを言葉で伝えながら進めました。
嫌がらずにすんなり交換できました!
歌の流れる玩具で遊びました。
歌が流れるとうれしそうにしており、止まるとシッターの顔を見ていました。
「楽しいね!もう一回やろう!」など、信頼関係をつなぐためのあたたかいコミュニケーションを意識しました。
玩具を振ると音が鳴るので、手に取ってフリフリしていました。
また、うつ伏せの姿勢で、自分の欲しいおもちゃを手に取っていました。(成長が伝わる場面)
時々「ふーん」と泣くような声を出して抱っこを求めていたので、(感情が動いた場面)ゆらゆら抱っこしながら子守唄を歌ってみるも眠くなる気配はなく、抱っこを喜んでいるようでした。(感情が動いた場面)
ですので、膝に座って遊んだり、座位の姿勢をとって自分の力で座れる時間を作ったりして遊びました。
少しの間であれば、座った姿勢を保持できていました!(成長が伝わる場面)
※否定語を使わない工夫箇所(少ししか座っていられない→少しの間であれば座った姿勢を保持できる)
一本橋こちょこちょや、くすぐり遊びなど、ふれ合い遊びも大好きで、とっても楽しそうに笑ってくれました。
いないいないばぁでも笑ってくれましたよ。(遊びの内容、遊び方)
▼18時50分 離乳食の時間(必ず記載するべき内容)
そぼろのお肉 3分の1食、ほか完食。
お皿を前に置くと、それが何かきちんとわかっていて自分で手前に引いていました。
おいもを手に持って、自分の口に運んでいました。
ほかはシッターが介助。
カボチャとりんごはよく食べており、おいもは少し固かったのか、口に入れもぐもぐしましたが、そのまま口から出していました。
シッターが少しスプーンですりつぶし、再度お口に運ぶと食べてくれました。
白いお肉のようなものは味が苦手なのか、口に入れてすぐに出していました。(食べたもの、残したもの)
▼19時05分 ミルクの時間(必ず記載するべき内容)
240cc完飲。(食べたもの、残したもの)
瓶を見ると喜んで手をバタバタさせて、飲みたいという意思を伝えてくれました。
抱っこでミルク介助。
グビグビと勢いよく飲んでいました。
途中で何度かむせる様子があったので、休憩しながら飲みました。(体調管理、報告)
途中で休憩をはさむと、「早くー!」というように訴える姿もありました。
一つひとつの意思をていねいにくみ取り、応答するようにしています。
しばらく背中をさすっているとゲップが出ました。
ミルクを飲みながら眠くなるかと思いきや、飲み終わってもまた元気に遊び出しました。
やはり、おしりふきのビニールがお気に入りのようで、すぐに手に取って遊んでいます。
仰向けでシッターが手を振って「ばいばーい!」と言ってみると、〇〇ちゃんも手を振っていました。
「すごいねぇ!」と褒めると、何回も披露してくれました。
手を合わせてぱちぱちもじょうずにまねっこ。
これもたくさん褒めると、うれしそうに何度も披露してくれました。(成長が伝わる場面)
お母さまが帰宅すると、うれしそうな顔をして手をパタパタ振っていましたね。
本日は、初めてのお預かりでしたが、人見知りもなく楽しそうにすごしてくれたので、私も安心してシッティングの時間をすごすことができました。
至らない点もあるかと思いますので、お気づきの点やご不明点があれば、お聞かせくださいませ。
本日は、ありがとうございました。
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こちらの報告書は、よりていねいに記述したものをピックアップして紹介しました。
保護者さまによっては、簡潔なもので素早い対応を求められる方や、割引チケット入力などの関係で、当日に報告書を送ってほしいという保護者さまもいらっしゃいます。ご家庭に合わせて、臨機応変に対応しましょう。
質の高い報告書で、保護者さまの安心と信頼を
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今回は、報告書を書くときのポイントについて、お伝えしました。
シッターの方にとっては、シッティング後のひと仕事になりますが、ていねいな報告書は、保護者さまの安心感に直結します。
シッティング中に「これを報告書に書こう」と頭のなかにメモしておくことが、報告書をスムーズに作成するコツです。
また、シッターとして長く活動していくために、報告書について以下のような決め事を自分のなかで作るのも大切なポイントです。
- 20分以内に仕上げる
- シッティング当日に送るように心がける
今回紹介したポイントを押さえて、ぜびよりよい報告書になるよう意識してみてください。